がんの代替医療

がん治療については、研究も進み、さまざまな抗がん剤、放射線治療、外科手術などが行なわれてきました。しかし、ときには副作用というものがつきまとい、患者はさらなる苦しみを味わうことになってしまいます。
患者としては、少しでも楽になりたい、がんから逃れたいということで民間療法に頼る人も出てきていますが、何が正しいのかを見分けるのはとても難しいことです。
海外では、その道の権威のある医師が自分がガンになったとき、自分のやっている方法ではなく、東洋医学に救いを求める人が多いという話も聞きました。
厚生労働省のがん研究班が「がんの補完代替医療ガイドブック」というものを作成したという新聞記事がありましたので、紹介します。
 普通のがん治療ではなく、民間療法など補完代替医療と、どう向き合い、利用したらいいかを考える『がんの補完代替医療ガイドブック」を、厚労省研究班が作成した。
 がんの代替医療は、がんの種類にもよるが、欧米ではがん患者の40〜60%が利用している。このため、たとえば米国は年間110億円以上の国家予算を使い、代替医療の臨床実験などを実施、科学的に検証している。英国でも国レベルの研究を進めている。
 主要先進国で最も盛んなのがドイツ。ペインクリニックの臨床では医師の約70%が針治療をする。イチョウ葉エキスが、認知賞の治療薬として医師の処方する医薬品なのは広く知られている。代替医療の知識は医師国家試験に出題され、国民だけでなく医療従事者にも浸透している。
 一方、日本の代替医療への取り組みは相当遅れている。半面、インターネットの普及で世界の医療・健康情報の入手が可能になり、医療現場では代替医療の利用者が急増している。
 厚労省は2001年、研究班をつくり、全国規模でがんの補完代替医療の利用実態を調べた。結果は2005年に報告されたが、がん患者の44.6%、おおむね二人に一人が一種類以上の代替医療の利用者だった。利用頻度が高いのは「60歳以上」「大卒以上」「女性」「肺がん・乳がん・肝胆道がん」などの患者。
 欧米ではマッサージや針・灸の利用者が多いのに対し、日本では健康食品やサプルメントの利用者が多かった。双方の一番の違いは利用目的。日本では、がんの進行抑制や延命効果が圧倒的だったが、欧米では症状緩和や心理的な不安の軽減、普通のがん治療で生じる副作用の緩和が主だった。
 『ガイドブック』は、こんな現状を「活用編」と「資料編」に分けて紹介。活用編では、体に有害な健康食品の例と薬と相互作用を起こす例などを取り上げている。
 資料編では、過去の研究論文から健康食品のがんに対する効果の有無を判定している。
 パソコンの検索エンジンに「がんの補完代替医療ガイドブック」と入力すると、PDFで取り込める。



                   
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